Seminar 2018 / セミナー情報2018
複素Langevin法と有限密度QCDへの応用
2018年11月21日(水) 13:30 @H524
Speaker:
筒井 翔一朗 氏 (KEK)
Abstract:
複素Langevin法とは、確率過程量子化法の手続きを複素数値をとる作用に適用する手法である。
この手法では、Langevin方程式を解くだけで量子ゆらぎをシミュレートすることが可能であり、
少なくとも形式上は Boltzmann weightの確率解釈が可能であることを前提としないため
符号問題の発生を回避することができる。しかしながら、複素Langevin法は経路積分量子化法
との等価性が一般的には保証されておらず、非物理的な状態に収束しうるという問題が知られている。
このセミナーでは、まず、複素Langevin法の収束性と正当化に関する近年の進展を紹介する。
特に、複素Langevin法が正当化できるための条件が、Langevin方程式の駆動項の確率分布関数
を用いて記述できることを示し、この判定方法が実用上有益であることを見る。
次に我々は、この方法を4フレーバー有限密度QCDに適用し、閉じ込め非閉じ込め相転移の近傍で、
複素Langevin法が正当化できるパラメータ領域を分析した。セミナーではこれらの結果を紹介し、
今後の展望を議論する。
Effective field theory approach to hydrodynamical fluctuation
2018年7月25日(水) 15:00 @H524
Speaker:
Pak Hang Lau 氏 (MIT)
Abstract:
Hydrodynamic fluctuations are found to be important in many situations such as cosmology, condensed matter system and heavy-ion collisions. Recently, an effective field theory for fluctuating dissipative hydrodynamics has been developed in 1511.03646 and 1701.07817. We explore nontrivial effects due to interactions among hydrodynamical variables and noises which are systematically incorporated in the present framework but are not fully captured in conventional approaches. In this talk, I will first demonstrate the idea using a simpl e model of brownian motion. Then I will describe how we can apply this idea to investigat e non-trivial consequence hydrodynamic fluctuations on the Bjorken expanding quark gluon plasma (QGP).
変数の複素化による符号問題への取り組み
2018年5月25日(金) 15:00 @H524
Speaker:
森 勇登 氏 (京大)
Abstract:
符号問題は複素作用によって生じる数値計算上の問題であり、被積分関数が激しく振動することに よって打ち消し合いが生じ、計算精度が著しく低下する問題である。
有限温度・密度の格子QCD計算にもこの問題は現れ、第一原理計算によるQCD相図の理解を妨げてい るため、未解決の重要な課題一つと言える。
この問題を回避するための方法として注目されているものに複素ランジュバン法とLefschetz thimb le法が存在するが、近年我々は新しい手法として経路最適化法を考案した[1][2]。
本セミナーではこの経路最適化法について、複素ランジュバン法とLefschetz thimble法との比較を 行いながら解説する。その後、場の理論への適用例として、複素スカラー場での計算例を紹介する 。また、その際に機械学習の分野で使われているニューラルネットワークを用いているため、それ についても軽く説明を行う。
[1]Y. Mori, K. Kashiwa and A. Ohnishi, Phys. Rev. D96, no. 11, 111501 (2017), [arXiv:1705.05605 [hep-lat]].
[2]Y. Mori, K. Kashiwa and A. Ohnishi, PTEP 2018, no. 2, 023B04 (2018), [arXiv:1709.03208 [hep-lat]].